記録が残り、価値が伝わるホワイトペーパーを企画から作っていただきました(一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアム 土屋俊博様)

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2025年3月に、一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアム様から依頼をいただき、一つのワーキンググループの活動を記録したホワイトペーパーを制作しました。

まちづくりに関する企業の先進的な取り組みや専門的な活動は、当事者以外には価値が伝わりにくく、かつ活動が「やりっぱなし」になるという課題から、その企画・制作・進行を依頼いただきました。

制作したホワイトペーパーは計16ページで、

  • 再開発のプロセス
  • 有識者インタビューや勉強会のレポート
  • 対談のレポート
  • コラム

など、スマートシティ化におけるまちの魅力発掘・活用に関する知見や発見がギュギュッと詰まった内容になりました。

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「何をどう進めようか」「何を伝えようか」と言った手探りの状態から始まり、16ページの「情報資産」を作成した過程、それを読んだ方の感想まで様々なお話を伺いました。

インタビューに答えていただいたのは、一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアムの「まちの魅力発掘・活用ワーキンググループ」の運営を務めていた(取材当時)土屋俊博さんです。

左:土屋俊博様
左:土屋俊博様

インタビューの様子は動画でもご覧いただけます。

一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアム様について

一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアム(Smart City Social Implementation Consortium:SCSI)様は、日本全国のスマートシティ化を推進するために2022年に設立された団体です。

デジタル技術を活用し、Well-Beingと持続可能な社会の実現に向けて、教育・医療・交通・商業・エネルギー・行政など社会全体のDX化といった「スマートシティ」への取り組みを加速させることを目的として設立されました。

現在、民間企業、自治体、非営利団体など約210団体が加盟し、知見も含めて蓄積し、地域間で共有することで、継続可能なまちづくりを支援するための活動をされています。

導入事例インタビュー

「何をどう進めればいいのか?」でつまづいていた

ーなぜ、まちの魅力発掘・活用ワーキンググループ(以下:WG)での活動をホワイトペーパーとしてまとめようと思われたのですか?

WGでの活動の成果や気づきなどを、より多くの会員の皆様と共有したかったからです。

当事者同士では議論や活動の内容を共有できていますが、それを客観的にまとめて他の人に分かりやすく伝える必要がありました。

コンソーシアム会員の200以上の団体の中には、積極的に参加してくださる企業もいれば、少し距離を置いて様子を見ている企業もいらっしゃいます。

後者のような方々が「面白そうだな」「自分たちも関わってみたい」と思えるような仕掛けが必要だと感じていました。

そこで、飯田橋でのWGの活動を一つのモデルケースとして、ホワイトペーパーという客観的な「記録」にして伝えることで、新たな参加のきっかけを作りたいと考えたのです。

ーホワイトペーパーを作ると決まってから、実際どのように作ろうと考えていましたか?そこで困ったことなどはありましたか?

正直なところ、全て手探りでしたね。

「どんなコンテンツがいいのか」「どんな構成にすれば他の会員は興味を持ってくれるだろうか」と、企画の根幹から悩んでいました。

また、最初は私一人で考えていたので、決め手に欠けてなかなか前に進めない状態になっていたのです。

ー何から始めればいいかわからない、という状態だったのですね。

そして、誰に頼めばいいのか、という点も大きな課題でした。

まちづくりに詳しい方は、必ずしも文章やコンテンツの制作のプロではありませんし、編集や制作の会社には「原稿をいただければ形にします」というスタンスの方もいます。

私たちが求めていたのは、まちづくりの分野に知見があり、企画や構成の部分から一緒に考えて制作してくれる人でした。

その両方を満たす方を見つけるのは難しいと感じていたところ、まちづくりの仕事もされていて、編集者として実績がある角田さんのSNSの投稿を見かけたことが、今回依頼したきっかけです。

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「誰に何を伝えたいですか?」が一貫した制作

ー制作のプロセスの中で、印象に残っていることがあれば教えてください。

当初考えていた通り、企画会議から取材、制作まで一貫して進めていただけたのが非常に良かったです。

「誰に、何を伝えましょうか?」という原点から始まり、ページ数や構成案、デザインの方向性まで、一つひとつ決めていって完成形が具体的にイメージできました。

レイアウト案
レイアウト案
表紙のデザインイメージ
表紙のデザインイメージ

また、毎週の定例ミーティングで「いつまでに、何を」と明確に区切ったり、進行管理シートをリアルタイムに共有・更新いただいたりしたおかげで、密度の濃い16ページの冊子を約3ヶ月という短期間で完成させられたと思っています。

逐一共有していたスケジュール管理表
逐一共有していたスケジュール管理表

ーいろんなコンテンツがありましたが、特に印象に残っているものはありますか?

有識者へのインタビューですね。

当初は自分で聞こうかとも考えていたのですが、ホワイトペーパー全体の構成を考えて質問を組み立て、インタビューの進行までお任せできたのは良かったと思います。

インタビュイーが3人いた中で、それぞれの個性や得意領域が違うことを見抜き、「この人からはこんな話を引き出したい」という意図を汲んで、話を引き出していただけたのには感心しました。

ホワイトペーパーが会話のきっかけを生んでくれる

ー完成したホワイトペーパーへの反響や、現在の活用方法について教えてください。

直接的な感想はまだこれからですが、様々な場面で「会話のきっかけ」として役立っています。

例えば、再開発やスマートシティ化に関心がある企業や自治体の方とお会いする時に、活動内容や考え方をより知っていただけるツールになっています。

口頭で全てを説明し切るのは不可能ですが、16ページに凝縮してまとめたことで、重要な点を相手にもストレスなく伝えられていると感じています。

会話の材料にもなっているので、その点も嬉しいですね。

ーありがとうございます。ホワイトペーパーの他にnoteでも記事を作成しましたが、その点についてはいかがですか?

ホワイトペーパーのQRコードから記事にアクセスできるようにしており、情報を深く知りたい人はnoteに遷移するという導線ができているように感じます。

また、インタビューを受けてくれた方が記事をSNSでシェアし、それを見た方がSCSIのnoteをフォローしてくれたりと、嬉しい反応がありました 。

会員限定のクローズドな情報(ホワイトペーパー)と、広く知ってもらうオープンな情報(note)を使い分けられたのも効果的でした 。

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活動の中身を伝え切るには伴走者が必要

ーホワイトペーパーの制作を企画からご一緒させていただきましたが、改めてどんな気づきがありましたか?良かった点は何でしょうか?

「活動をやりっぱなしにせず、記録し、発信することの重要性」を再認識できました。

これまではイベントを開催しても、日々の運営に手一杯で、その成果や熱量をきちんと伝えられていないという反省がありました。

我々だけでなくまちづくり業界全体に言えることですが、それではせっかくの知見が内輪だけで閉じてしまいます。

特にスマートシティという分野は、概要は分かっても中身がよく見えない、ということが少なくありません。

そうした専門的で伝わりにくい活動を、「どうすれば人に伝わるか」という視点で一緒に考え、誰もが読める「読み物」として形にできたのは大きな財産です 。

活動は、きちんと記録して発信するまでがワンセットなのだと、改めて実感しました。

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ー私も勉強になる内容ばかりだったので、それを届けられて良かったです。最後に、どのような企業や団体に私のことをおすすめしたいと思いますか?

地域住民との共創活動(リビングラボ)など、一般の方を巻き込みながら新しい事業を作ろうとしている企業には特におすすめしたいですね 。

せっかく素晴らしい活動をしていても、それが伝わらなければ共感の輪は広がりません。

その取り組みを客観的な視点で形にして発信していくことで、活動の価値は格段に高まるはずです。

また、スマートシティのような新規事業は、社内から「それは事業としてどうなのか」「どれだけ儲かるのか」と、常に成果を問われる厳しい立場にあります。

確たる答えがない中で、活動の意義を社内外に伝え、理解者や協力者を増やしていくことは死活問題です。

そうしたコミュニケーションの質を高めるためにも、客観的なレポートや冊子などは有効でしょう。

その発信に最初から伴走し、制作を一手に担ってくれる方がいると心強いと思います。

株式会社midnight sunでは、新聞やホワイトペーパー、冊子など紙媒体の制作に力を入れています。

編集者としての経験を凝縮し、企画から制作、進行管理、印刷までまるっと担って進めることが可能です。

また、「誰に何を伝えたいのか?」という目的をもとに、方向性が一貫した制作を心がけています。

紙媒体を用いた広報やブランディング、組織づくりなどに興味がある方は、ぜひ気軽にお問い合わせください。