「歩く」から街を知り、魅力を自分ごとで語る。あるっこ代表・並木有咲さんと飯田橋を歩きながら考えた「街の魅力」の見つけ方|スマートシティ社会実装コンソーシアム #note

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「歩く」から街を知り、魅力を自分ごとで語る。あるっこ代表・並木有咲さんと飯田橋を歩きながら考えた「街の魅力」の見つけ方

「魅力的な街ってどんな街?」

まちづくりに関わる人もそうでない人も、一度は考えたことがあるでしょう。

スマートシティを軸としたまちづくりを推進する一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアム内で活動している「まちの魅力発掘・活用ワーキンググループ」では、どのように街の魅力を見つけ、それをどのように反映して魅力的な街を作るかを探求しています。

その活動の一環として、まち歩きが好きな人や、歩きたくなる街を増やす活動をしている一般社団法人あるっこ代表理事の並木有咲さんを招き、東京・飯田橋エリアの街歩きイベント(2024年6月)とそこから見える飯田橋の魅力を考える会(2024年11月)を開催しました。

魅力的な街とは?どういう視点で魅力を発掘するのか?といったことを「歩く」という切り口から考えた結果、「自分ごとで語れることを増やす」というキーワードが浮かんできました。

そんな2回のイベントのレポートをぜひご覧ください。

さんぽによって、街の魅力を”自分で”見つける

並木さんが代表を務める一般社団法人あるっこ(以下:あるっこ)は、「日常が楽しくなる'さんぽ'を提案する」をミッションに掲げ、まち歩きイベントの企画運営、歩きたくなるまちづくりに対するアドバイスなどの事業に取り組んでいます。

街をさんぽすることで、季節ごとの変化や歴史的な背景を知ることができ、参加者がさまざまな視点を得られる「歩くのが楽しくなる街歩き」を自治体や企業と連携して作っています。

あるっこが街歩きに力を入れているのは、「街の魅力を知ることが、街への愛着に繋がる」と考えているから。

自分自身の視点で街の好きなところを発掘し、自分ごとで街について語れる要素を増やすことが街を好きになること、と並木さんは語ります。

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(一般社団法人あるっこ代表理事 並木有咲さん)

街歩きで自分の”ワクワク””ほっとする””飯田橋らしい””モヤモヤ”を発見

2024年6月、並木さんと一緒に街を歩き、飯田橋の魅力を発掘する街歩きイベントを開催。

20〜50代の幅広い年齢層の方が集まり、水道橋↔︎飯田橋間の約4kmの道を歩きながら、それぞれが気づいた飯田橋の好きなところや魅力を共有する会となりました。

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街歩きイベントのルート

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参加者に以下の4つのポイントを提示し、これらを感じた場所や物について写真に収めていただく形で進行。

自分がどう感じたのかを直感で表現することが、自分の街や物の見方に気づくヒントになる、ということです。

  • ワクワク
  • ほっとする
  • 飯田橋らしい
  • モヤモヤ
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そして、街歩き後にそれぞれの感想をシェア。

一人ひとり価値観も感じ方も違うため、様々な視点の写真が集まり、多角的に飯田橋の街を見る機会にもなりました。

また、良い雰囲気の中で共有タイムが進み、参加者にとっても充実したイベントとなったようです。

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街歩きで見えた飯田橋の3つの魅力

上記の街歩きイベントの開催前に、飯田橋のイメージについて参加者に聞いたところ、「オフィス街」「東京ドーム」「イメージがない」といった声が集中していました。

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そんな中で開催した街歩きイベントによって、イメージは変わったのか、実際に歩いてみてどんなイメージを抱いたのか。

街歩きイベントで参加者の声から見えてきた飯田橋の魅力を、2024年11月開催の「まちの魅力発掘・活用WG」の第1回定例会で並木さんに解説していただきました。

①歴史を感じる

街歩き参加者の声で一番多かったのが「歴史」というキーワード。

場所や道、お店や案内板など、歴史を知る・感じ取る機会が多かったようです。

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例えば飯田橋アイガーデンテラスには、甲武鉄道(現・中央線)の起点駅となった歴史の記憶として埋め込まれている線路や、洋風のしつらえの石垣があります。

また、散歩路にある街の歴史を伝えるモニュメントなど、これらが街に馴染みながら存在していることから、飯田橋という地域が歴史を丁寧に語り継いできたことを物語っています。

その他、昔ながらの「味のあるお店」が多く残っている風景も、飯田橋の歴史を感じさせるものとなっています。

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②落ち着く街の隙間や寛容性

2つ目は、落ち着く街の様子から見える「隙間」や「寛容性」について。

意外に落ち着く街」「実は自然が多い街」という声が上がったように、歩いてみて初めてわかる魅力を感じた人が多かったようです。

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例えば、神田川・日本橋川といった豊かな川や、「人と人が寄り添う」ことを意味するあいあい橋など、水辺があることが誇りと落ち着きを感じさせてくれます。

また、飯田橋駅の駅ビル「RAMLA」内のステンドグラス、東京大神宮に繋がる石畳の道といった衣装性のある風景に、整然とした街並みの中にも遊び心も覗かせます。

さらに、建物の隙間にある緑にほっこりする、という声も寄せられました。

国土交通省が作成した「まちなかの居心地の良さを測る指標」では安らぎ感・期待感・安心感・寛容性という4つの指標が提示されており、飯田橋の魅力はこの4つ全てに当てはまっている、と並木さんは話していました。

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③街の境界線が難しい

最後にあげたのは「街の境界線が難しい」という特徴。

捉え方によって魅力とも課題とも取れる特徴ですが、飯田橋を表す特徴として並木さんは紹介しました。

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「どこからどこまでが飯田橋がわからない」「切り取る場所によってイメージが違う」といった声が街歩き参加者からあったように、様々な顔を持つ飯田橋の街。

それは、街歩き参加者の感想に「入り組む」「混ぜる」「ダンジョン」といったワードが多かったことが象徴しています。

オフィスが多い場所やレトロな店が集まる場所など、場所ごとにカラーが違っていますが、裏を返せば「用途別に場所ごとに特徴付けされている」と言うこともできる、と並木さんは語ります。

さらに、高級住宅街に味がある餃子屋さんがあったり、「飯」「面」など多くを語らない飲食店の看板があったりと、ユニークな風景も街歩きによって多く発見されました。

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歩きたくなる街が、街の魅力を語る

以上が、2024年6月開催の街歩きイベントと、その内容から見えた飯田橋の魅力を並木さんに解説していただいた2024年11月定例会のレポートです。

街を歩くと、今まで見えてこなかった魅力が多く見えてきて、その声が集まると街の大きな特徴が見えてくることがわかる機会となりました。

並木さんが「自分ごとで語れるものが多いのが魅力的な街」と繰り返し語っていたように、「私はこの街の〇〇が好き」といったこと一人ひとりに持ってもらうことが、街への愛着度が増したり魅力発信に繋がったりするのでしょう。

そう考えると、魅力的な街を作るには、まずは歩きたくなる道・歩きたくなる街を作るのが重要かもしれないーー。

並木さんとの街歩きによって、このような示唆を得られたように思います。

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一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアム(SCSI)とは?

一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアム(SCSI)は、スマートシティの具体的な社会実装と持続可能な仕組みづくりを目的に2022年に設立された団体です。

教育・医療・交通・商業・エネルギー・行政など社会全体のDX化「スマートシティ」への取り組みが加速する中で、あらゆる業態・地域の垣根を越えた官民連携のエコシステムの形成を目指して活動しています。

民間企業・大学・自治体など200以上の会員団体とともに、

  • スマートシティに関わるテーマ別の分科会
  • データ連携基盤を活用したサービス開発に関する勉強会
  • サービスカタログ・マーケットプレイスを通じたサービスの掲載・閲覧
  • サービス開発環境の提供、開発者コミュニティの運営

等の取り組みから、スマートシティの社会実装に向けた知見の蓄積と実践に取り組んでいます。

その中で、「街のにぎわい広場」「グリーンインフラ×ICT」「保健師業務支援サービス」など、テーマごとに分科会やワーキンググループを設置し、活発に議論や活動を行っています。

関心のある方はぜひWebサイトをご覧ください。

一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアム スマートシティの社会実装を加速するエコシステムの構築に向けて、スマートシティサービスを創り、試し、展開する全国規模のコンソ www.sc-consortium.org